小原慎司の 「白い恋人」CM出演顛末記 12
投稿日 : 99年3月13日<土>22時13分

 そんなこんなで早くも2カット分撮り終えた私たち(ていうか、もう第12話になってんじゃねえかよ)だった。ちなみに、さすがにミッチーの「バルデス〜〜!!」が聞き取れるテイクはボツとなったが、そのうち春夏の番組改編期に低予算で制作されるNG大賞のような番組で日の目をみるかもしれない(みない確率のほうが幾何級数的に高い)。

 次なる監督の我々への要求は、「声援に答える選手に対して、受けまくるサポーター達」
 注目すべきはは、この「受けまくる」というポイントだった。それぞれ思案にふける我々であったが、そんなすっかりライト焼けした私たちに近づく、高見沢俊彦似のメイクさん氏。またもおもむろに、ちさとちゃんのTゾーンの補修を始めた(補修じゃねえだろ、補修じゃ)

 さらに、めいくさんは、あろうことか、ミッチーの前につかつかと進みでて、天然ではあるが素人でもあるミッチーのTゾーンの改造に着手したのだった(改造じゃねえだろっ)驚愕する我々。だいたいが、Tゾーンのテカりの手入れなんて、普通の人生を歩んでいる人間にとっては、夢のまた夢、夢野久作、嶋田久作は帝都大戦といったものである。およそ日常で体験できるものではない。「素人はてぃいぞおんをてかてかに保つべし」と生類憐みの令で徳川綱吉も言っているとおりだ(堂々日本史第18巻参照)。その業界人の証、テカり取りが、いままさにわれわれの目の前で、天然娘ミッチーに対して施行されているのだ。テカりを取られながら、意味もなくVサインで我々の驚愕に答えるミッチー。その場にいただれもが、羨望と嫉妬のまなざしで彼女を凝視していた。
「おれも、されたい・・・」

 こうなったら、汗をかいてかいて、テカりまくるのが得策というものである。テカってテカって、宇宙の騎士テッカマンくらいにテカれば、さしもの高見沢氏も素人のミッチーにしたように、私のテカり取りに着手してくれるだろう。次のテイク、私はさらに激しい演技を自らに課した。

 相変わらずのディレクター氏の掛け声。
「3,2,1、笑顔〜〜〜」
 それぞれが思い思いの笑顔で、受けまくる。リアクションのオリジナリティが試されるカットだ。口に手を添えて叫ぶもの、ガッツポーズをするもの、嬌声を発するもの。私は当然、「跳ね」に磨きをかけ跳ねまくる。この日、札幌市北区を震源とするM6.7の地震が観測されたが、実は他でもない私が原因だった。なおこの地震による津波の心配はなかった。
「カット!!みなさん、上手になりましたねえ〜〜」
 本当にそう思う。私は汗だく。テレビチャンピオンの「全国汗かきベソかき王選手権」の第2ラウンドくらいは突破できそうな汗だ。はたして、つかつかと接近してくるメイクさんこと、高見沢氏。いよいよ私に近づいてくる!!ついに業界人への仲間入りだ!!と、おもう間に、高見沢氏は私の隣のたすく君の髪を直しはじめた。
つづく


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